木造住宅の耐震診断が知られるようになり、昭和56年以前の木造住宅は耐震診断・補強計画・補強工事は行政から補助を受けられる方が増えました。一方、昭和56年以後に建っている住宅にお住まいの方も耐震性に不安を持たれ、耐震診断・補強計画・補強工事を依頼される方が増えてきました。

昭和56年以後の住宅は安全か?

 岡山県のホームページでは、南海トラフの地震(東南海・南海地震)の影響度が大きいため、南海地震の発生確率は、10年以内が10%程度、30年以内が50%、50年以内で80%から90%と発表されています。

その際、岡山市では最大震度は6強、県南部は6弱を想定されています。

 昭和56年(1980年)以前に建てられた住宅は、建築基準法の耐震基準が低く、これらの時期に建てられた住宅は大きな地震が来ると、木造住宅の約9割は倒壊する可能性があると言われています。

 

岡山県の地震についてのホームページ 

 


建築基準法の耐震構造基準は、大地震のたびに強化され、何回も改正されています。

平成12年(2000年)にも木造住宅の耐震性をより高めるため、重要な改正をしています。

 

平成12年(2000年)の建築基準法の改正のポイント

1)地耐力に応じて基礎構造を特定し、地盤調査が義務化される

2)構造材とその場所に応じて継手・仕口の仕様を特定ー接合金物の指定とホールダウン金物の使用

3)耐力壁の配置にバランス計算が必要ー四分割法と充足率、偏心率の計算

が必要とされました。

■ 柱と梁、筋交いに使う接合金物が耐力壁の強さにより指定された

平成14年 2000年6月以前の建築基準法には、壁と土台の接合部分は『クギ、その他の金物で接合』程度としていました。従来、接合に使用されていたクギや三角金物では、200kgから400㎏の力が加わると抜けてしまいます。阪神淡路大震災の再現実験では、強度を持った壁には4tという力が加わることが分かりました。

 

これを受けて新しく定められたのが、 

(1)筋交いのサイズによって、筋交いを止める金物を指定ー告示1460号
(2)柱の位置、耐力壁の強さで柱を止める接合金物の指定

 

という2つの基準であり、強い壁には強い金物を使用することが規定された。

 この接合部を強くするために用いられるのが、『ホールダウン金物』の使用がきめられました

これは、柱が土台から引き抜けるのを、コンクリートの基礎の力で抑えるための金物で重要です。

阪神大震災では、この金物が取り付けていない住宅が多いため、基礎から住宅が浮き上がり、多くの住宅が倒壊したと言われています。


■ 1階、2階の平面において、東西・南北の耐力壁の強さのバランス配置が求められた

在来木造住宅では、建築基準法によりX方向とY方向に筋交いなどにより、一定以上の長さの耐力壁が必要です。

平成12年(2000年)の改正からは、側端Aと側端B  側端Cと側端Dの耐力壁の長さのバランスが求められています。片側に耐力壁が多いと地震の時に大きく揺れて破壊の原因になります。

平成12年(2000年)以前の建物では耐力壁のバランス配置は求められていないので、構造評点が低くなる住宅があります。


■ 年代による建物の強さの調査データ

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が実施した、昭和25年(1950年)から平成12年5月(2000年)までに着工された木造在来工法の建物を耐震診断した、19,279棟耐震評点のデータです。

昭和56年(1981年)以前に建てられた、ほとんどの在来木造住宅は「倒壊する可能性がある」または「倒壊する可能性が高い」と言えます。


日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が実施した耐震診断調査によると、昭和56年(1981年)以降に建てられた在来木造住宅でも、8割以上が「倒壊する可能性がある」または「倒壊する可能性が高い」と言えます。



平成12年(2000年)の建築基準法の改正以後に、「正しく建てられた住宅」は安全と言えます。

住宅をリフォームするときは、耐震診断を受け耐震補強工事もあわせてしましょう

大きな地震が起こる可能性が高いといわれるニュースを耳にすると、昭和56年(1980年)以降に建てられた木造住宅にお住まいの方も、「大丈夫なのか?」不安になる方も多いです。

最近そうした方の相談や設計監理の依頼が増えています。

 

昭和59年に建てられた木造住宅のリフォームに合わせて、耐震診断と補強を依頼されました。2015年3月ー耐震補強工事とリフォーム工事中ー福山市 12月完成

構造評点1.5以上にて補強計画を行い、耐震リフォーム設計・監理をします。

構造評点 1階X方向0.63 Y方向0.84で昭和56年以降の木造在来住宅の一般的な評点ですが、2階はX方向0.33 Y方向0.82となり 総合評点は評点の一番低い数字の 0.33「倒壊する可能性が高い」 のかなり低い判定になりました。

 

全ての方向で 構造評点1.50以上 を目標に耐震補強計画を計画し、耐震工事を行います。

昭和63年に建てられた木造住宅の耐震性能に不安を持たれ、耐震診断を依頼されました。2014年12月ー岡山市

建設時の図面もあり、筋交いの種類・位置も正確に分かり正確に耐震診断できました。住宅は建設時に住宅金融公庫を利用され、基礎や外壁のクラックもなく良好。接合金物は当時の基準仕様でありました。

 

耐震診断は「岡山県木造住宅耐震診断マニュアル」に従い診断をしました。

耐震診断評点は、1、2階の東西方向が思ったより良くなく 0.57と0.52 で「倒壊する可能性が高い」判定 でした。

 

原因は、南面の開口部が広く筋交いの位置のバランスが悪い、筋交等の接合部の金物が貧弱である。

耐震診断基準に従って耐震診断すると、耐震評価は低くなり、「倒壊する可能性が高い」と判定されました。

 

補強計画を行います。

施主さんに事務所に来ていただき、現況の建物の診断結果と補強計画について説明しました。

 

1階・2階の壁を耐震補強し、構造評点 1.16 に計画し、「一応倒壊しない」レベルになりました。

また、2階外壁の壁の直下の1階に壁が少ないので、1階天井裏に水平補強を提案しました。

 

補強に向けて耐震工事をされました。

建築知識より掲載

これからの木造住宅の耐震補強

現在の建築基準法の耐震強度は、震度6強程度の強い地震でも建物の中にいる人の命は守られる基準である。

度重なる強い地震に見舞われると倒壊の危険性がある。

対策

建築基準法より耐震強度を高くする

制振装置など地震の揺れを低減できる装置を設置する

 

補助金を受ける耐震補強は建築基準法レベルの強度であり、度重なる地震には不安はある。

現在建っている建物の柱・梁の接合部の強度は不安である。

 

そこで2階建て木造住宅に制震装置を取付けたシュミレーションをしてみる。

 

住宅接合金物メーカーーカネシンさんの制振装置 V-RECS をX・Y方向に 各2個設置すると、簡易解析では

震度5クラスで揺れ変形は34%減

震度6クラスで揺れ変形は52%減 され、揺れ幅が少なくなり、安全性に有効である。

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