岡山/倉敷で住宅の設計・監理をしている-建築家 宇川民夫が主宰する建築設計事務所ー宇川建築計画事務所の「住宅のリフォーム」専門のホームページです。岡山県木造住宅耐震診断員の認証を受け、木造住宅の耐震診断と耐震補強計画を行い、耐震設計・監理をしています。

 

 木造住宅の耐震性能は、1981年より前の旧耐震基準と、81年の新耐震基準導入以降で大きく異なる。大地震では、旧耐震基準で建てられた住宅が持ちこたえるのは難しいと予想されているが、新耐震基準導入以降の住宅は震度6強の地震では持ちこたえると想定されている。

 

熊本県を中心とする今回の地震は、同じ場所で2回震度7が起きる前例のない災害となり、日本地震学会長の加藤照之・東京大教授は「1回の揺れで耐えられる設計でも、2度3度だと壊れる可能性がある。大きな地震の後しばらくは建物の倒壊に注意が必要だ」と指摘する。

これからの住宅

現在の建築基準法の耐震強度は、震度6強程度の強い地震でも建物の中にいる人の命は守られる基準である。

度重なる強い地震に見舞われると倒壊の危険性がある。

対策

建築基準法より耐震強度を高くする

制振装置など地震の揺れを低減できる装置を設置する

熊本大地震の特徴

熊本県を中心とする地震は、同じ場所で2回震度7が起きる前例のない災害となった。14日から発生した震度1以上の地震も700回を超えており、専門家は家屋倒壊などへの注意を呼びかけている。

 気象庁は20日、16日午前1時25分に熊本県熊本地方で発生したマグニチュード(M)7.3の本震で、同県益城町と西原村で震度7を観測していたと発表した。益城町では14日夜のM6.5の前震でも震度7を観測していた。同庁によると、同じ場所で震度7が2回起きたのは観測史上初めて。

 震度7の観測は1995年以降では阪神大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、今月14日の益城町に続き5例目。

 20日午後10時までに発生した震度1度以上の地震は718回。震度7は2回、6強は2回、6弱は3回、5強は3回、5弱は7回となった。

 M3.5以上の地震回数は2004年の新潟県中越地震の同時期を上回り、過去最多ペース。

 

 日本地震学会長の加藤照之・東京大教授は「1回の揺れで耐えられる設計でも、2度3度だと壊れる可能性がある。大きな地震の後しばらくは建物の倒壊に注意が必要だ」と指摘する。

 

熊本地震の木造住宅の被害状況               2016.9.12

熊本県益城町中心部の木造建物で1981年以前の木造住宅の94.7%が損傷、耐震等3級の木造住宅はほぼ無被害-熊本地震原因分析委員会の報告

 

 

熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」は、9月中に国土交通省に提出を予定している第3回最終報告書案で、2016年熊本地震で大きな建物被害を被った益城町中心部ほぼ全棟の建物調査の結果を発表した。

 

 前回6月に発表した第2回報告書と比べ、今回は調査対象となる2340棟全棟の建築年と被害状況を特定した。
 これによると、1981年5月以前に建てられた木造建築770棟のうち、729棟が何らかの損傷を被り、その確率は94.7%。倒壊・崩壊も215棟と27.9%にのぼった。

1981年6月~2000年5月までに建てられた木造建築862棟のうち、689棟が何らかの損傷を被り、その確率は79.7%。倒壊・崩壊も75棟と8.7%にのぼった。

 

現行規定の2000年6月以降に建てられた木造建築323棟のうち、何らかの損傷を被ったのは125棟(38.7%)。倒壊・崩壊は7棟(2.2%)となった。
 倒壊した7棟のうち3棟は規定通りの接合部仕様を満たしておらず、1棟は地盤変状であることがわかった。残り3棟は明確な被害要因が確認できなかったが、「震源や地盤の特性に起因して局所的に大きな地震動が作用した可能性が考えられる」とした。

 

 さらに対象地域には住宅性能表示制度を利用している住宅が19棟あり、このうち16棟が耐震等級3を取得していた。等級3を取得した住宅16棟のうち、14棟が無被害、2棟が軽微か小破の被害にとどまった。

 今回の熊本地震被害を受けて、報告書では木造建築の今後の対策として、「旧耐震基準(1981年5月以前)に建てられた木造建築物の耐震化促進」「現行の平成12年基準(2000年6月以降)に適合しない建物への被害抑制」「(耐震等級3を取得する比率が高い)住宅性能表示制度の活用」などを提言する予定。 

 

 

                             新建ハウジング 記事 280912

益城町では旧耐震基準の住宅の全壊が目立つ

熊本地震による被災地で、家屋被害の状況が分かってきた。最大震度7を観測した熊本県益城町では700棟以上が全壊だった。建築基準法で耐震基準が強化された1981年以前に建てられた古い家屋の被害が目立つという。住宅の耐震化率の向上は全国的な課題になっている。

 

 同町などによると、これまでに5400棟の損壊を確認しており、うち750棟が全壊だった。調査が進むにつれ、被害は拡大するとみられる。

 この地域には古い家屋が多い。調査にあたった同町の杉浦信正都市計画課長は「全壊した家屋には旧耐震基準のものが相当数含まれていた」と話す。基礎部分がコンクリートではなく石に木の柱を立てた簡易な構造だったり、現行基準より重い屋根瓦が使われたりしていた。

 同町では14日に震度7を観測して以降、16日未明の本震を含め大きな揺れに何度も見舞われた。杉浦課長は「最初の地震で柱が土台の石からずれるなど構造にダメージが生じ、その後に重い屋根が揺さぶられて倒壊したケースが多いのではないか」とみている。

 

 1981年の建築基準法改正で、住宅の耐震基準は引き上げられ、それまでの「震度5強で損傷しない」から、震度6強~7でも倒壊しない耐震性を求められるようになった。

熊本大地震 新耐震基準後の住宅も倒壊した

人々の命を守るためには、大きな地震を受けても建物が崩落することだけは避けねばならない。1981年に改正された我が国の耐震基準では、人命を守るために建物の崩壊を避けることを強く主張している。

 

以下 日経ホームビルダーの記者のレポート

2016年4月16日に発生したマグニチュード(M)7.3が本震、14日のM6.5が前震となった熊本地震は、多くの建物に被害を与えた。家づくりの実務情報誌「日経ホームビルダー」では、新耐震基準の導入以降に建てられた住宅が、前震と本震でどのような被害を受けたかに注目。記者が建築の専門家と共に現地を取材した。 

 

 本震の発生後、木造住宅の耐震診断と補強に詳しい耐震研究会(東京都世田谷区)の建築実務者数人と、熊本県益城町に向かった。取材目的の第一は、新耐震基準導入以降に建築された木造住宅の、被害状況を知ることだ。

 

 木造住宅の耐震性能は、1981年より前の旧耐震基準と、81年の新耐震基準導入以降で大きく異なる。今回ほどの大地震に、旧耐震基準で建てられた住宅が持ちこたえるのは難しいと予想されたため、新耐震基準導入以降の住宅に絞ろうと考えた。 

 

 益城町の被災住宅は、本震を受けて前震のときより急増していた。全てを見て回り、該当する被害を探し出すには時間がかかる。そこで、本震の発生前に放送されたテレビ番組を見直したところ、益城町の西側にある安永地区周辺の映像に、倒壊している比較的新しい住宅が2棟映っていた。その情報から住所の見当を付けて現地に向かった。 

 

 現地に到着すると、土ぶき瓦の、いかにも古い住宅が数棟並んで倒壊し、道を塞いでいた。旧耐震基準の住宅だ。一方、その向かい側の住宅数棟には、目視では大きな建物被害は確認できなかった。使われている外装材などから、新耐震基準導入以降ではないかと推定される。

先に進むと、探していたうちの1棟を発見した。木造2階建てのアパートで、1階が完全につぶれていた。土台と基礎はアンカーボルトで固定されているが、土台と隅柱にホールダウン金物がない。このことから、新耐震基準導入以降の住宅だと判断した。新耐震基準導入以降の住宅が、本震の前に倒壊していたと考えられる。

熊本大地震が広がりを見せる

14日以降、熊本県の熊本地方で起きた地震は、距離の離れた阿蘇地方や大分県の地震を誘発した。内陸の活断層が起こす直下型地震は影響が一部地域にとどまる例が多いが、大きな地震が相次ぐなどこれまでの常識や経験則を覆す事態が発生している。

 

「連鎖地震」は他の地域でも起こりうるのか。四国などさらに広範囲に波及する恐れや、懸念される南海トラフ巨大地震への影響を指摘する専門家もいる。

 

近畿から四国の北部を横切り、九州の熊本県に至る中央構造線断層帯はM6以上の大規模地震のリスクを内包する大活断層帯と言われる。地震学者である武蔵野学院大の島村英紀特任教授が指摘する。

「記録には残っていませんが、中央構造線断層帯はこれまでもたびたび、大きな地震を起こしている。今回のものは日本人が初めて目にした中央構造線の地震です。背景には、南海トラフのプレッシャーも関係あると考えられる。しかも、中央構造線断層帯は『3.11』以降、かなりエネルギーがたまった状態になっているはずです」

 

沖縄大学のの木村名誉教授も、

「日向灘沖は南海トラフの西端にあたり、相当なエネルギーがたまっているはずです」

 過去、南海トラフでは複数の地震が連動して起きている事実がある。すなわち、今回の熊本地震は、これをきっかけに起こるであろう日向灘沖地震が南海トラフ地震と連動する「玉突き大地震」の前兆だというのだ。

 震度7の地震から1日余りが経過した4月16日未明になって、今度は熊本市、菊池市、宇土市、宇城市などで震度6強でM7.3の地震が発生。気象庁は14日の地震は、この地震の「前震」に当たるという見解を示す。

地震への住宅のそなえ

日経アーキテクチャー:東京工業大学 和田章名誉教授 記事より

 

人々の命を守るためには、大きな地震を受けても建物が崩落することだけは避けねばならない。1981年に改正された我が国の耐震基準では、人命を守るために建物の崩壊を避けることを強く主張している。

 

この度の熊本地震では、多くの古い木造が崩落したこと、必ずしも古くない木造建築も崩落してしまったことがあり、耐震性確保の努力が足りなかったことが残念である。我が国の過去の地震(兵庫県南部地震1995年、新潟県中越地震2004年、能登半島地震2007年、新潟県中越沖地震2007年など)でも、2階建木造建築は多く倒壊・崩落している。

 

 1階には大きな部屋が設けられ易く、特に南側は開放的に作るため筋違や合板を利用した壁が設けられにくい。街道沿いの商業木造建築はその街道に沿った面に壁が設けられない。このように1階の剛性や強度は不十分なだけでなく平面的に偏りやすい。一方、2階には細かく分かれた部屋が設けられ、筋違や合板による壁が多く配置されることが多い。さらに、2階の「柱と壁」は屋根しか支えていないが、1階の「柱と壁」は屋根と2階を支えているから、1階は2階より丈夫に作らねばならないことは誰にでもわかる。「各階の弱さ」は背負っている重量と壁の量の関係で決まるから、1階に被害が集中しやすい。どのような場合でも、地震は相対的に弱いところを集中的に壊そうとする。

 

 日本は地震国である。昨日まで大丈夫だったからといって、明日は分からない。全国の人々にお願いがある。大きな2枚の画用紙に2.5cmグリッドを書き、これを半間(90cm)として、各用紙に1階と2階の平面図を描き、柱の位置に黒丸を描き、筋違や合板の壁、土壁の部分を赤鉛筆で太く描き入れ、家族皆でよく見て欲しい。平面的にバランスは良いか、2階より1階は丈夫と思えるかなど、真剣に議論して欲しい。市町村のホームページで耐震診断への手引きの案内をしているはずである。ぜひ進んで相談して欲しい。

 

熊本の地震は、4月14日夜に始まり、その後何度も余震があり、16日未明に本震が起き、さらに次の地震が続いている。このように、波状的に襲ってくる地震動は、通常の耐震設計上では考慮されていない。通常の場合は、新しい建築に一回の大きな地震動が襲う場合しか考えていない。このたびの波状的地震動は、地盤の破壊を拡大し、木造建築の破壊に影響を与えるだけでなく、鉄筋コンクリート構造、鋼構造においても、構造的被害が拡大する可能性がある。このような累積的な損傷が構造物に与える影響は、今後の新しい研究課題である。

 

耐震改修の必要性と、免震構造・制振構造などの新しい耐震構造の普及が課題

 

耐震性の低い既存建築の耐震性向上は経済的に難しいことがあっても進めねばならない。我が国の研究者・技術者は、1968年十勝沖地震、1978年宮城県沖地震、1995年兵庫県南部地震などの大きな痛手を受け、諸外国との技術交流もあり、この50年の間に耐震技術を向上させてきた。これらの研究成果として、免震構造や制振構造があり、国内外で1990年頃から多くの建築に使われている。熊本市にも免震構造が22棟ある。4月15日に熊本大学病院を訪ねて看護婦に伺ったが、免震構造であることをご存知で、地震後に何事もなく普段の医療を続けることができたと喜ばれた。大きな自然災害に途方に暮れることなく、より良い技術を開発し、健全に普及しなければならない。

建築基準法レベルの耐震強度の住宅に制震装置を設置すると

補助金を受ける耐震補強は建築基準法レベルの強度であり、度重なる地震には不安はある。

現在建っている建物の柱・梁の接合部の強度は不安である。

 

そこで2階建て木造住宅に制震装置を取付けたシュミレーションをしてみる。

住宅接合金物メーカーーカネシンさんの制振装置 V-RECS をX・Y方向に 各2個設置すると、簡易解析では

震度5クラスで揺れ変形は34%減

震度6クラスで揺れ変形は52%減 され、揺れ幅が少なくなり、安全性に有効である。

 

 

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